全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは、原因不明の全身性疾患です。


■症状と特徴

皮膚や関節・内臓など、全身にさまざまな症状を引き起こします。 関節リウマチとともに代表的な膠原病の一つで、 英語名の頭文字からSLEと呼ばれることもあります。男女比は1対10で、特に妊娠可能な年代の女性に多く発症します。 特徴的な皮膚症状として、蝶形紅斑やディスコイド疹などが現れることがあります。 しばしば、原因不明の発熱や倦怠感、食欲不振や体重減少などの全身症状を伴い、光線過敏症やレイノー現象が起こることもあります。 さらに関節炎やリンパ節の腫れ、白血球や血小板の減少を引き起こしたり、ループス腎炎心外膜炎胸膜炎間質性肺炎溶血性貧血、などの思い臓器障害や精神神経症状を併発することがあります。 なお、医療費の一部を公費で負担する指定難病になっています。


■原因

発症には、免疫異常や遺伝的な体質、ウィルス感染などが複合的に関与していると考えられていますが、根本的な原因はわかっていません。 全身性エリテマトーデスは自己免疫疾患の一つで、血液中に抗核抗体などの自己抗体が出現し、免疫複合体を形成して、 自分自身の細胞や組織を攻撃してさまざまな症状を引き起こします。 なお、症状を悪化させる誘因として、紫外線、妊娠や出産、手術、 過重な労働や心身のストレスなどが指摘されています。


■治療

初期治療が予後を左右するため、早期に専門医を受診することが大切です。 症状が軽い場合は、非ステロイド系抗炎症薬を使いますが、全身性エリテマトーデスは炎症反応が強いため、ステロイド薬による症状のコントロールが必要です。 臓器疾患を併発するなど、症状が重い場合は、大量のステロイド薬を使用するか、もしくはタクロリムスやシクロホスファミド、ヒドロキシクロロキンなどの 免疫抑制薬と併用します。 ただし、ステロイド薬や免疫抑制薬には副作用があります。治療中は感染に対する抵抗力も弱くなっているので、風邪などの感染症には要注意です。 また、急にステロイド薬や免疫抑制薬を減量したり中止したりすると、再発を招きます。 服用時は定期的な副作用のチェックとともに、医師の指示を守ることが大切です。 妊娠・出産のほか手術を受けるときも前もって専門医に相談しましょう。